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当院の体外受精の特徴 その③ 成績

当院の体外受精の成績、といってもまだ開院前なので、今までの成績を披露するしかありません。わたくしたちのスタッフは、チームを岐阜で組んでからまだ一年しか経っていません。12月の終わりに一年間の統計を出しますので、今しばらくお待ちください。

院長が、三重県のクリニックでしていた成績より随分進歩しているのは確かです。わたしたちの現在の妊娠率は、感覚的な表現を使うならば、「20代、30代は精子さえ普通ならば、基本的には2回以内の体外受精で妊娠して当たり前。40代は、採卵数が確保できれば妊娠は可能だけど、質のよい卵になかなか出会えないから妊娠率は随分悪い」と言ったものです。卵巣年齢が35歳くらいまでならば、注射を採卵前に8回くらい使って刺激する方法で、10個くらいは採れます。そうしたら、3個~5個くらいは胚まで育ち、それを戻せば妊娠する割合は50%は絶対越しています。もちろん、いくつかの工夫はしています。卵巣刺激の仕方、注射の量、採卵の仕方、受精のさせ方、胚の育て方、胚移植の仕方、黄体管理など、いろいろなART専門クリニックから吸収してきた(盗んできた?)方法を織り交ぜ、自分たちで工夫して、「これなら、妊娠する」という方法を加えて、ほぼ完成したレシピです。自分たちの工夫の部分は、実はなんでもないのかも知れませんが、今のところ、門外不出のところにしています。

要するに、体外受精というものは、よい精子とよい卵子があれば、よい胚ができるものなのです。出生前診断をしていない胚なので、一見綺麗に見えていても育つとは限りません。でも、それを適正に扱えば、結構妊娠してくれるのです。適正に扱わなければ妊娠しません。そこの所は、高い妊娠率を出しているART専門クリニックに勤務して何百かの症例を検討していれば吸収でき、自分の責任でやってみてその数は少数ですが、確かに成果が得られた、と感じました。適正に扱っているART施設がすべてとは思えません。「胚を捨ててくるように胚移植するところ」とか「乱暴に卵を扱うところ」では妊娠率は10~20%に低迷します。これを「なんちゃってART」と称している先生もいました。

学会発表をするART施設では、概ね、わたしたちが感じている妊娠率の感覚を持っているのでは、と思います。数字で出すのは、困難です。年齢別といっても、卵巣年齢はばらばらです。胚移植あたりの妊娠率より、一回の採卵あたりの妊娠率の方が実用的だとは思いますが、それでも、いくつ卵がとれ、そのうちいくつから良い胚ができて、最終的にいくつ卵を戻し、いくつ凍結ができたのかが分からなければ、比較が困難です。さらに男性因子も加味しないと正確な比較が困難です。比較的わかりやすいのは、40代の患者さん(つまり卵の質が悪く、数も少ないのが一般的)の成績でしょう。不利な条件で、どのくらいな成績がでているかが、そのクリニックの腕を見るのによいからです。それでも、採卵回数などを隠して発表している施設も多くみられます。20代は、男性因子から体外受精になっている例が多く、30代より、いくぶん成績が悪い施設もあるはずです。色々な施設が、自分の都合のよい(全国の成績よりよい数字の)妊娠率を掲げていますが、それを見て、受診施設を決めるのは、結構難しいのでは、と思います。

わたしたちのクリニックも、早く症例数を積み、正直なデータを出して、みなさんの意見を頂戴したいと思っています。