Posted in 当院のブログ on 3月 20th, 2010 No Comments »
田中要次演ずるTVドラマ HEROのバーテンダーは、キムタクのリクエストに応えて、いつも「あるよぉ」と小さなバーには似つかわしくないアイテムを毎週出していました。小さい当院も、そんな「あるよぉ」のクリニックにしたいと思い、開院以来、機会をみては新しいアイテムを仕入れています。
最近、仕入れたもの
LLLT(低レベル反応レーザー):話題となりつつあるレーザー治療のひとつ。頚部の星状神経節付近に照射して視床下部・下垂体の血流を増し、ホルモンの自然な理学療法を期待されております。腹部に照射することで、子宮と卵巣の血流を増やすそうです。筋肉のコリをほぐすという目的で整形外科領域で使用されることが多いのですが、不妊治療でも有用性が着目されています。施術中のスタッフとの会話もリラックスにつながります。
サンビーマ(SUN BEAMER):遠赤外線医療機器。お腹を温め、子宮と卵巣の血流を増やします。ITTLと表裏の関係で使用しています。20分間スタッフがいなくても運用でき、体験の患者様は眠ってしまうことも。
卵管鏡とFTカテーテル:当院は、ばりばりの体外受精屋ですが、治療の選択を広げるという意味で、導入いたしました。開通率は文献によると80%程度(妊娠率は20%くらいだそうですが)で、あくまで自然妊娠を、という方に積極的に受けていただこうと考えております。静脈麻酔下に、極力苦痛を避けて行います。
復活したもの
キッズルーム:開院以来、事務の倉庫と化しておりましたが、2人目不妊の増加に伴い2月より復活しております。今後、知育玩具を増やし、木の匂いのする部屋にする予定です。
しかしながら、究極の「あるよぉ」は、どんな難治性不妊の方にもあきらめないでいただくという、妊娠の方法の引き出しでしょう。当院は、人とのコミュニケーションを極力大事にしながら、never give upの精神で、皆様と一緒にこうのとりのお手伝いをさせていただきたいと願っております。
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Posted in 当院のブログ on 1月 2nd, 2010 No Comments »
上の一連の写真は、当院で平成21年に得た胚盤胞の一部です。実は、開院以来、すべての胚を5日目まで育てており、胚盤胞の段階で胚移植をしております。患者様の希望というよりは、当院の希望によってです。なぜでしょうか?3日目の胚は8分割くらいです。割球均一で、フラグメントの少ない胚が、4日目で分割を停止してしまうこともあります。一方、どうかな、と思われていた胚が最後、内細胞塊の立派な胚盤胞に成長することもあります。従って、本当のところ、胚盤胞、それも拡大胚盤胞まで育ててみないと、胚の良し悪し、というのはわからないのではないか、と思います。3日目の見かけ上、綺麗な胚が、本当に生着する良い胚なのかどうかを見届けたいがため、たとえ1個しか胚がなくとも5日目まで育ててしまうのです。5日目までに分割を止めてしまうと胚移植ができなくなってしまうのですが、培養室で成長を止めてしまう胚が、本当に体内だと(それも子宮という、本来3日目ではありえない環境)ですくすく分割するのだろうか、という疑問があります。体内環境は、未だに培養室の環境より良いのでしょうか?駄目胚だとわかってしまうと戻せなくなるので、なんとか戻したいという患者様の思惑と、なんとか戻して胚移植料金までとりたいクリニックの思惑が一致しているだけなのではないか、という疑念は、今日まで明確な回答を見出せずにおります。
当院は、午後8時前後に採卵するケースが90%であり、5日後の午後2時半か午後4時半、もしくは午後7時半で胚移植(初期胚盤胞から拡大胚盤胞、まれに一部ハッチング段階)をしております。正確には丸4日と20時間前後で行っております。5日以上経ってしまうと子宮内膜と同調しなくなり着床率が下がるのでは、と考えており、胚移植を行いません。これは、夜採卵でのみ行える操作で、朝採卵で同様の操作を行うと深夜に胚移植をすることになってしまい、実際的ではありません。当院の時間帯で、胚盤胞で胚移植を行うと、およそ80%程度が生着します。症例数が増えてきた平成21年11月~12月には、採卵数24に対し、胚盤胞到達率が20(内2例は、6日目に到達したため凍結保存)、胚盤胞移植を18、うち16例が妊娠反応陽性でした。妊娠率は、年齢や患者様の質(多嚢胞性卵巣症候群など)に左右されることが多く、一概にクリニックの実力を反映したものではありませんが、胚盤胞に到達した胚は80%程度が生着(ただし、残念ながら20%程度が流産に至りますが)しているという事実を以て、当院はある一定の技術レベルに達したのではないか、と考えております。学会推奨の単一胚移植も、実際の現場の条件・雰囲気で迷いながら2個(AAという良好胚とBCクラスの胚の組み合わせ)を入れることも平成21年は多くなってしまいました。結果、2個胚移植の場合、当院では30%程度の双胎率をみており、今後は単一胚移植をさらに推奨しなければならないと反省しております。なお、5日目良好胚でありながら生着しない場合、および6日目胚盤胞は凍結しており、当院独自の融解胚移植プログラム(現在のプログラムにたどり着くまで2年かかりました)に沿って、胚移植を行い、最近では70%程度の生着率を得るようになってきました。現在、多嚢胞性卵巣症候群や早発閉経・高年齢の方より、いかに良好卵を得るか、ということが大きな課題となっております。成功した患者様より、成功しなかった患者様の事が深く印象に残っております。次にどうしたら良いか、色々なアンテナを張りながら、卵巣の質改善プログラムを開発し、より多くの皆様の期待に応えたいと思っております。
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Posted in 当院のブログ on 7月 29th, 2009 No Comments »
こうのとりチームが発進しました。すでに数例の体外受精の成功例が得られております。初めての施設のシステムがうまく作動するかどうかについては、気をもむのですが、よい胚とよい結果ができて、スタッフ一同胸をなでおろしています。
私たちは、特定不妊治療費助成の指定医療機関であるのですが、体外受精というものが特定不妊治療費助成というものではなく、保険診療の枠に入れられることを望んでおります。つまり基本的に、体外受精胚移植というものが自費扱いであることに疑問を感じております。いろんな観点から見て、採卵操作は、腹腔鏡手術より危険率は低いと思います。体外受精児というものの総数、その予後を考えてみても、自費診療という特殊枠に入れられる必要はないのではないか、と思います。
昔の教科書のフローチャートには、タイミング法を6周期、人工授精を6周期して、妊娠しないならば、腹腔鏡手術を推奨しているものが多いと思います。その結果、さらに6ヶ月乃至12ヶ月で妊娠しなければ、体外受精に移行せよ、と。これには、私たちは疑問を抱いております。
採卵操作は、エコーガイド下に針をいれて吸引する操作です。盲目的に針を入れているわけではありません。この操作は、腹腔鏡手術の麻酔、腹腔内に至るための複数の穴あけ、腹腔内での器具の操作に比べて、危険率はおそらく低いと思われます。体の負担に対しても、入院を要する腹腔鏡手術と、日帰りで行える採卵では、どちらが負担を要するかは自明です。腹腔鏡で癒着を切除したり、焼却する操作は危険と裏腹です。卵巣に対して行う多孔術も、熱を与えるだけに卵巣にダメージを与える操作であることは疑いがありません。
私たちは、一定期間の自然妊娠を狙った後、体外受精を早期に一度行い、卵の質、精子の受精能を確認してから、もういちど自然妊娠を狙うか、体外受精を継続するか、考えてもよいのでは、と考えております。腹腔鏡手術の意義としては、反復体外受精不成功例に対して、「やむをえない処置」として行うものとして考えています。腹腔鏡手術は、保険診療なのですが、成功率がはっきりしないし、おなかにいくつも傷跡が残りますし、決して、体に優しい手術ではないからです。
すなわち、体外受精の敷居を低めることこそ、不妊治療を効果的に、負担のすくないものにするために不可欠な要素ではないか、と考えております。これは、私たちの考えであって、間違っているかもしれません。しかし、過去に私たちが行ってきた腹腔鏡手術を反省してみても、「まず体外受精ありき」という考え方を、当分は変えるつもりはありません。
今回、平成21年度から、1回の助成額が15万円に拡充されました。しかし、年度あたり2回、通算5年間、という助成です。これは、現場からすると、納得いかない設定なのです。予算が一年単位で行われるせいなのか、なぜ、年度で計算されているのでしょうか?5年間も不妊続ける人間は、そんなに多くありません。体外受精の年間累積妊娠率は、凍結融解胚移植の進歩などにより、9割近くになると類推されています。しかし、誰もが2回以内に妊娠するわけではありません。3回や4回になってしまうこともあります。あるいは、体外受精を1月から始める方も多いと思いますが、調節周期では、3月一杯まで一回しか助成を受けられない計算になってしまいます。
たとえば調節周期の場合、4月に体外受精を受けて妊娠せず、7月に再チャレンジして結果がでなかった人は、9月以降に体外受精を受けられますが、以後翌年4月になるまでは助成を受けることができません。それでは、来年4月まで、体外受精をためらう人もでてくるのでは、と思います。来年4月まで待っているまでに、卵巣の老化が進んでしまう恐れもあります。クロミフェン周期で行っている人にとっては、さらに役立ちません。また、15万円という助成も、妊婦検診費用や分娩費用の助成額(38万円)と比べると、ずいぶん少ないようにも感じております。また、産科の助成に対して、収入制限があることにも納得いかないものを感じております。共働きの患者さんは、この収入制限にひっかかる方も多いのではないかと思いますが、働いている人を応援していない、この制度に対して、いかにもお役所的な思考を感じてしまうのは私たちだけでしょうか?
私たちは、少しでも敷居を低めるために、自動車のリスク細分型保険のように精一杯、価格を下げるため努力してきました。当院の価格表を他院様の価格と見比べていただければ、「おそらく、体外受精を保険診療にしていただいた方が、こうのとりWOMEN’S CAREクリニックの収入は増えるのではないか」と考えている私たちの考えはご理解いただけるのではないでしょうか?企業努力として、限界近くまで下げておりますが、もうすぐ、試薬の無料提供や、検査費用の優遇など、関連業者からの支援もなくなってしまいます。けれど、患者さんにこれ以上の負担をお願いするのも、現場の人間としては忍びなく、いろいろ検討した挙句、今回、7月に、私たちは価格表を別ページの自費診療価格のように改定させていただきました。
ポイントは、施設使用料という項目をつくったことと、年間2回までという特定不妊治療費助成という現状を踏まえて、年間2回までしか加算しないことにしたことです。簡単にいうと、高額な器械や工事費で造り上げた培養室の借金返済に、施設使用料を充てさせていただきます、ということです。実際の操作に伴う人件費や消耗品は、個々の状況に応じて加算するという、考え方です。これにより、患者さんの設定としては、以前とほとんど違わない負担とすることができました。ほどほどの負担で、なるべく多くの方に当院の体外受精を受けていただく、これが、私たちの基本となる考え方です。これは、今後も変わらないと思います。
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Posted in 当院のブログ on 5月 2nd, 2009 No Comments »
こうのとりWOMEN’S CAREクリニックは、近鉄四日市駅より東口(北口からも南口からも)より300mの距離にあります。周辺は、一番街商店街というアーケード街です。昭和の時代によくみられたこの構造、現在でも人通りが多く、栄えている地域もありますが、地方都市では、シャッター商店街と形容されるように往年の活気を失っている商店街も多くあります。この一番街商店街も、シャッターを閉めている貸店舗も多く、飲食店は活気がありますが、それ以外は微妙であるようです。ここより東に600mに位置するJR四日市駅界隈の商店街は、さらに人通りが閑散としております。三重県は、モータリゼーション化が進んでおり、郊外型大型店舗があちこちにできており、生活道路沿いには、何十台もの駐車場を構えた店舗が立ち並んでおります。そういう時代にあって、3000円買い物をしなければ、無料駐車券(それも1時間)をもらえない商売をしている商店街は、駅近くにあっても衰退していくのは、むべからぬことだと思います。駅前空洞化現象を防ぐ手段は、おそらくどの市でも検討していると思いますが、行政が提案しているのが、大抵、古い建物を壊し、マンション化するという方法です。しかしながら、これでは、商売ができず活気のある街づくりができません。駅前への大規模商業施設の誘致は、小さな高い土地を買うことになり、企業が嫌がり、土地が安く確保できる郊外に走っていってしまいます。自家用車利用を前提に考えた商売の仕方が前提なのです。
私たちが考える(自分たちも駅前商店街の一員なので真剣です)生き残り方法は、次の通りです。
1)特殊な品揃え・特殊な技術をもった専門店をつくる
2)ホームページを作り、広範囲なお客さんを相手に商売をする
3)商店街の一角に、地下駐車場もしくは自走式立体駐車場ビルを建設し、2~3時間は無料とする
4)商店街の近くに、興業施設や教育施設、気の利いた公園などデートスポットをつくる
ネット商法でも、実物をみなければ納得できないという商品(たとえば、家具の質感や手触りなど)は多いと思います。駅前という立地を生かし、商品を展示するショールームと捉えるのです。実物を見たいという人は、車や電車で見ることができる。ネットと立体駐車場、これが生き残る方法であり、商店街あげて取り組めばなんとかなりそうな範囲です。行政が手を貸すのは、立体駐車場の建設や公共施設(デートスポットを年頭に)の建設でしょう。近鉄四日市とJR四日市をつなぐ間には、大規模な地下駐車場はありますが、惜しむらくは1時間無料の券しかありません。つまり、3000円の買い物で1時間無料券なのです。1時間で、ゆったり買い物や散策ができますか?これが3時間無料となり、若者や中年に受ける店が出店すれば、もっと人が多くなるのに、と思うのは、私たちだけでしょうか。
かつて、吉祥寺に住んでいたことがありました。吉祥寺にもアーケード街があり、人通りが多く、商店街の中にあるSEIYUよりも活気がありました。この差はなんでしょう?吉祥寺は、最近TVドラマの背景によく登場する井の頭公園があり、文士が住む中央線があり、文化がある。建物は、かならずしも新しくもなくお洒落でもないのですが、時計屋さんとか個性的な店が多く散策して面白いのです。対する四日市にも、公園があり、近鉄線があり、文化(洋風ではありませんが)がある筈なのですが、行政関係者は、この差を考えてみるとよいのでは、と思います。
さて、こうのとりWOMEN’S CAREクリニックも、自HPをもち7割の患者さんがインタネットを頼りに、来院なさいます。私たちとしては、他にないような技術とサービスを備えて、笑顔で患者さんを迎えたいと思います。これで、セオリー1)と2)を満たします。3)ですが、近隣には、アピタで1000円買い物をすると3時間無料のララパーク駐車場や、2000円買い物で2時間無料の近鉄の駐車場があります。これらの駐車場は、一番街の駐車券を使えると1時間上乗せできるので、私たちのクリニックから徒歩5~8分と少し遠いですが便利です。もっとも近い「くすの木駐車場」は残念ながら、1時間15分の無料券しか使えません。クリニック内で1時間以内に会計を済ますのは、結構きついことでもあります。せめて2時間無料にしてくれたら、ずいぶん使い勝手もでて、積極的に勧められるのになあ、と思うのは私たちだけでしょうか?くすの木パーキングの運営会社の第三セクターさん、元手は税金なんだから、もうちょっと時代と実情を考えていただけると有り難いのですが。。。4)ですが、この周辺には、美術館も映画館もプラネタリウムも3か所の公園もあります。でも、有機的になっていなくて、若者の集まる場になっていない。若者が集まるデートスポットになるよう、みんなで考えていきませんか?という、提案でした。一番街商店街の今後の変貌に着目していきたいと思います。
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Posted in 当院のブログ on 4月 21st, 2009 No Comments »
当院が開院してから、約一か月半が立ちました。学会の生殖補助医療施設認定も申請中ですが、胚の取り違え事件のせいか、認可基準が過去より厳しくなり、再審査となってしまい、おそらく5月20日過ぎに認可される見通しです。実質2か月に一回の審査間隔になるため、予定より二か月遅れとなってしまいました。この間、不妊患者さんが徐々に増え、早く体外受精などの治療を行いたいのですが、もう少し辛抱しなければならない状況です。現在500~600くらい認定施設があり、実質稼動していない施設も多いようですが、一方では、採卵数が年間1000を超える先行メガクリニックが市場の大部分を占めている状態です。体外受精は、もともと大学病院で行われていた治療ですが、その先生たちがプライベートクリニックで産科と併用しながら、あるいは専門クリニックとして10年くらいの間に急速に大きくなり、今日に至っています。体外受精はある程度組織的な力が必要となりますので、先行クリニックは圧倒的に有利です。最初、成績が悪かったであろう頃に試行錯誤が許容され、人とモノとカネがそろった今、後発施設の進出を、色々な手段で阻む格好になっています。後発施設は、かつては同じグループの後輩であった医師やプライベートクリニックの勤務医師であった人たちです。日々進む技術をチェックし、高額な機器や培養液を購入し、チームで不妊症治療にあたる、というのは実はなかなか大変なことであります。当院のような弱小クリニックが生き残るには、知恵を絞り自分の時間をぎりぎりまで費やして、相当の努力が要求されます。
かつて私もメガプライベートクリニックにおりましたが、ISO9001のマニュアルに沿うと、医師を含めて歯車でした。担当医制ではなかったので、自分の役割は工場の一部門に座り、同じような患者さんに同じような治療の一部分の繰り返しでした。ARTは神聖視され、施設長とトップ培養士しか手が出せませんでした。医師の仕事でいえば採卵の半部とか、あるいは1個の卵しか新人培養士(それも3年くらいいて)にはおちてきませんが、リカバリーが効く部分しか任せられないのは、ある意味当然ですから、メガプライベートクリニックとしては、それしかできないのでしょう。当番医制(曜日によって担当医師が違う)の施設というのは、経営者が思い切った人であるのだと思います。しかし、勤務医師にとっては、一人の患者を診た、という感覚が湧いてきません。そこで、新規開業を考えるのですが、組織力を揃えるのに資金がかかり、かつ広告に金が取られます。そして、パイの奪い合いでは、なかなかメガプライベートクリニック相手に戦うことは困難なのです。そのプライベートクリニックの敵は、産科医院のART部門進出です。なぜならば、産科医院には、分娩で集積した資本があります。金で機械と技術者を揃えれば、プライベートクリニックにとっては脅威になります。産科医院は、病棟を持っており、日曜日診察や夜間の注射も苦もなくできる。妊娠してからのフォローも容易。そこで、メガプライベートクリニックは、品質と技術の差を打ち出すのですが、それにも莫大な広告費がかかります。物量戦争の中、新規のプライベートクリニックは、かなり経営がきつい状況になっているのです。しかし、道はあると思っています。
メガプライベートクリニックの弱点は、個々の勤務医師に任せざるを得ないため一般治療の治療成績が悪いこと、、卵管鏡や腹腔鏡手術などの代替手段(手間がかかり利益率が低い)を示さず、すぐARTに持ち込みたがること(大組織になってしまうと、それを支えるだけの採卵数が必要になるため)、待ち時間がものすごく長いこと、料金が高いこと(大人数の組織を養うためと、莫大な広告費(雑誌・テレビに協賛)などで、経費がかかるため)ではないか、と思います。これらを意識して、スリムな組織で、頭と自分の時間を使って真心こめた治療をしていけば、弱小プライベートクリニックでも経営が成立すると思うのです。金持ちにはなれないと思いますが。
誤解を恐れずに言えば、不妊治療クリニックというのは料理店みたいなところがあります。料理店は、厨房にちゃんとした道具と、選別された食材があれば、あとは一人の優れた料理人の腕で美味しい料理がつくれます。これは、誰にも納得できることだと思います。美味しい料理を食べた人はリピーターとなり、また広告せずとも自然に口コミで増え、いつのまにか名店になります。それと、同じようなことが、不妊治療クリニックでも言えるのではないでしょうか。体外受精のラボは、数千万円かければ、ちゃんとした道具は揃います。開業資金数千万円は、出せない額ではありません。特に既存産科施設からみれば、わけない投資額でしょう。選別された食材とは、おそれおおくも患者さんの質です。これは、選んでくるわけにはいきませんが、いい状態で配偶子を採るのは、医師の仕事です。ここにも目利きのようなすぐれたセンスが必要になります。そして、料理人の腕。現在は、すでに培養士の領域になっているのですが、ここでの材料の取扱が決定的な決め手になります。完成した料理をフロアでもてなすのは、また医師や看護師の仕事です。こう見てくると、一人の医師が切り盛りしているクリニックでも、その医師や培養士の資質次第で一流の味は出せるのではないか、と思えます。そのために大事なことは、最初の料理を美味しくできて、初めにきていただいたお客様を満足させられるか、ということです。
体外受精とか顕微授精というものは、基本的には職人の技だと思うのです。小さなクリニックでも頑張れば、一流の味が出せる筈なのです。メガクリニックの施設長というのは、どこも練達の達人だと思いますが、小さなクリニックの長でも、達人はいるのでは、と思います。器械は高いといっても数千万円の投資で、一式揃います。弱小クリニックが生き残るには、医師の正確な見極め、練達の採卵・胚移植技術、そしてなにより、培養士のセンスと技術だと思っています。技術を高めるために、私たちのクリニックでは、動物実験や精子の実験、一人一人の患者さんごとの予備試験というものを重視しています。そして、予備試験のデータを基に本番に備えます。非常に時間がかかるし、経費もかかるのですが、とにかく妊娠させるんだという「つくり屋」の心意気、誇り、プライドというものがそれを後押ししています。
さて、四日市におけるチームこうのとりは、まだ立ち上げたばかりなので、発表する時期ではありません。しかしながら、新規弱小クリニックに通う患者さんにとっての参考資料となるように、同じメンバーのチームが過去1年間に行った成績を敢えて載せてみました。今と同じく弱小新規クリニックでしたので症例数も少なく、かつ1年しか経っていないので、出産までこぎつけていない方もかなり入っていますので、出産率や流産率が入っていないなど統計としては全く不十分なのはご理解ください。あとは、実際に当院に立ち寄っていただき、その味をご自身で確かめていただくしかないように思います。
年齢
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Posted in 当院のブログ on 12月 1st, 2008 No Comments »
不妊治療を40歳から始められる方は、結構多いです。もし、もう5年早く来られたら、楽に妊娠できだだろうと思われる方も沢山います。体外受精も40歳未満とするならば、日本でのART施設での採卵数は半減するのではないか、と思われるところがあります。そのくらい、40歳からの不妊治療は、根気がいります。10%を超える妊娠率を出している施設は、ほとんど皆無で、つまり10回採卵して1回妊娠できるかどうか、という確率の悪さなのです。
出会いが、around forty だという場合、これは運命です。どうにもなりませんね。しかし、出会いが早かった、あるいは結婚はしていたけど、人生のプランで、子育てを後に持ってきた、というならば、これは人生設計の失敗であった、といえるかもしれません。子作りは、待ったなしなのです。卵巣年齢は、かなりの個人差がありますから、芸能人が40代で子供ができたから、自分も子供ができると思ってはいけません。その芸能人の卵巣年齢は30代前半であったかもしれないからです。
40歳からの不妊治療希望でみえた方の場合、その不妊治療の進め方は、十分なインフォームドコンセントが必要になります。これを説明した場合、1時間くらいになり、これをカウンセリングと称している施設も多いようですが、これはコーディネート(説明)に属するのでは、と思います。本当のカウンセリングとは、臨床心理士の資格を持つ人が、不妊症治療を勉強し、融合したところから発せられるべきもので、第三者が行うのが望ましいものです。
スクリーニング→タイミング→(人工授精(行ってもせいぜい数回)→体外受精 となっていくケースが多いのですが、ここでタイミング法でヒューナーテスト不良ならば、ステップアップがすぐ行えますが、ヒューナーテスト良好だと、何周期か(せいぜい半年ですが)費やされることが多く、ここで問題が生じます。半年間で、さらに卵の質が落ちたり、排卵刺激に反応しなくなってしまうことが多いからです。体外受精をすると卵の質がわかります。そこで、40歳以上の方は、なるべく早めに一度は自然周期(あるいはクロミフェン周期)での採卵を受けていただき、卵の質を確認してから、その後の治療計画をたてた方がよいのではないかな、とも考えています。治療というより、検査の一環ですね。そこで卵の質が悪ければ、妊娠成績は悪いのですから、体外受精を繰り返してもなかなか成果が得られません。かといって、諦めもつきませんから、かくして、泥沼に陥っていきます。40歳代からの治療の進め方に関しては、わたしたちも、いまだに迷いがあり、今のところ、決め手がありません。なんとか、いい提案ができるよう、これからも研鑽していこうと思っています。
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Posted in 当院のブログ on 11月 24th, 2008 No Comments »
当院の体外受精の成績、といってもまだ開院前なので、今までの成績を披露するしかありません。わたくしたちのスタッフは、チームを岐阜で組んでからまだ一年しか経っていません。12月の終わりに一年間の統計を出しますので、今しばらくお待ちください。
院長が、三重県のクリニックでしていた成績より随分進歩しているのは確かです。わたしたちの現在の妊娠率は、感覚的な表現を使うならば、「20代、30代は精子さえ普通ならば、基本的には2回以内の体外受精で妊娠して当たり前。40代は、採卵数が確保できれば妊娠は可能だけど、質のよい卵になかなか出会えないから妊娠率は随分悪い」と言ったものです。卵巣年齢が35歳くらいまでならば、注射を採卵前に8回くらい使って刺激する方法で、10個くらいは採れます。そうしたら、3個~5個くらいは胚まで育ち、それを戻せば妊娠する割合は50%は絶対越しています。もちろん、いくつかの工夫はしています。卵巣刺激の仕方、注射の量、採卵の仕方、受精のさせ方、胚の育て方、胚移植の仕方、黄体管理など、いろいろなART専門クリニックから吸収してきた(盗んできた?)方法を織り交ぜ、自分たちで工夫して、「これなら、妊娠する」という方法を加えて、ほぼ完成したレシピです。自分たちの工夫の部分は、実はなんでもないのかも知れませんが、今のところ、門外不出のところにしています。
要するに、体外受精というものは、よい精子とよい卵子があれば、よい胚ができるものなのです。出生前診断をしていない胚なので、一見綺麗に見えていても育つとは限りません。でも、それを適正に扱えば、結構妊娠してくれるのです。適正に扱わなければ妊娠しません。そこの所は、高い妊娠率を出しているART専門クリニックに勤務して何百かの症例を検討していれば吸収でき、自分の責任でやってみてその数は少数ですが、確かに成果が得られた、と感じました。適正に扱っているART施設がすべてとは思えません。「胚を捨ててくるように胚移植するところ」とか「乱暴に卵を扱うところ」では妊娠率は10~20%に低迷します。これを「なんちゃってART」と称している先生もいました。
学会発表をするART施設では、概ね、わたしたちが感じている妊娠率の感覚を持っているのでは、と思います。数字で出すのは、困難です。年齢別といっても、卵巣年齢はばらばらです。胚移植あたりの妊娠率より、一回の採卵あたりの妊娠率の方が実用的だとは思いますが、それでも、いくつ卵がとれ、そのうちいくつから良い胚ができて、最終的にいくつ卵を戻し、いくつ凍結ができたのかが分からなければ、比較が困難です。さらに男性因子も加味しないと正確な比較が困難です。比較的わかりやすいのは、40代の患者さん(つまり卵の質が悪く、数も少ないのが一般的)の成績でしょう。不利な条件で、どのくらいな成績がでているかが、そのクリニックの腕を見るのによいからです。それでも、採卵回数などを隠して発表している施設も多くみられます。20代は、男性因子から体外受精になっている例が多く、30代より、いくぶん成績が悪い施設もあるはずです。色々な施設が、自分の都合のよい(全国の成績よりよい数字の)妊娠率を掲げていますが、それを見て、受診施設を決めるのは、結構難しいのでは、と思います。
わたしたちのクリニックも、早く症例数を積み、正直なデータを出して、みなさんの意見を頂戴したいと思っています。
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Posted in 当院のブログ on 11月 24th, 2008 No Comments »
数年前、いくつかの有名なART施設を見学させていただいたことがあります。共通していたのは、朝8時くらいから採卵する、ということです。実は、これは、採卵前に打つ注射の時間に関係があります。コントロールされた周期では、GnRHa周期であろうと、antagonisit周期であろうと、HCGの注射を35~36時間前に打ちます。午前8時の35時間前は、前々日の午後9時です。もし、午後1時採卵にすると、前日の午前2時になってしまいます。これは、ビル診療では不可能な話で、患者さんも迷惑です。そこで、朝の採卵となっているようです。クロミフェン周期でよく使われるフレアアップという方法を用いると注射の必要がありませんが、これも時間は同じですから、似たような事情で、クロミフェン周期でも朝採卵となっているのでしょう。
しかし、仕事をもつ患者さんの立場になって考えてみると、朝早くからクリニックに行かなければなりません。旦那さんも出勤前に慌しく精子提供です。採卵に静脈麻酔を用いると、午後から仕事がやっとです。局所麻酔も止血原理(採卵では卵巣表面の止血は自然止血なのです)は一緒ですから、本来何時間かは寝ていた方が無難でしょう。
そう考えると、仕事後に採卵するパターンがあってもよいのでは、と考えました。また、当院は、「1人の患者さんに対し集中したい」「卵や精子の取り違えを物理的にゼロにしたい」「最高の医師と最高の培養士の組み合わせは施設あたり一組しかいない」という考えから、時間帯あたりの採卵・胚移植を1人に限定しています。
そこで、当院の体外受精の特徴は、フレキシブルな時間としました。つまり、
朝8時半からの採卵・胚移植、午後1時からの採卵・胚移植、午後4時からの採卵・胚移植、午後8時からの採卵・胚移植の4通りのパターンが可能です。
午後8時からの採卵の場合、ご夫婦とも通常のご勤務を終えてから来院していただいてO.K.です。採卵が終わって眠っていらっしゃる奥様にずっと付き添ってご一緒にお帰りください。
午後8時から採卵するためには、HCGの注射は前日の午前9時に行います。静脈麻酔を受けられると午後11時くらいにクリニックを出ることになりますが、たとえお1人で帰られることになっても近鉄四日市駅前徒歩2分の距離ですから問題ありません。近鉄も長距離バスも動いていますし、タクシーもすぐつかまえられます。当院の胚培養士は、夜型人間で、媒精作業が午前様になっても最高のコンデションで行えます(翌日は午後出勤です)ので、この時間帯での採卵が実現しました。
ついでですが、外来も午後8時まで受付していますので、注射も勤務終了後にきていただけます。
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Posted in 当院のブログ on 11月 24th, 2008 No Comments »
現在、日本には約600の日本産科婦人科学会の体外受精登録施設(ART認定施設)が存在します。
当院も、内装工事が完了したら、早速、認定申請をする予定です。なぜ、認定申請をするのかというと、各自治体の生殖医療治療費補助制度を受けるためには、患者さんが受けている体外受精をしている病院・クリニックが、ART認定施設でないといけないのです。2回受けると、年間20万円の補助額になります。これは、保健医療となっていないARTでは、見逃せない額です。
さて皆さん、ARTは高い、と思っていらっしゃいますよね。私が在籍していた頃の東京の値段ですが、1回受けると総額70~80万円に達することがあります。採卵して胚移植までの料金は45万円くらいと標榜しておりますが、その前後の検査代・注射代・投薬代を含めると、結局そのくらいかかってしまうというわけです。注射をあまり、使わない方式は、それよりも安くなるのですが、1回あたりの採卵数が少ないので、採卵そのものの回数が増えてしまい、妊娠するまでにかかる費用は、結局高くなってしまうことも十分考えられます。
「子供が授かる」というのは、医療機関にかからず自然にできた場合は、費用ゼロですから、費用がかかる不妊治療というのは、不公平と言えば不公平です。不妊症」自体は、病気と認定され、保険治療の対象となりますが、「体外受精」は保険適用になりませんので、とりわけ、不公平ではあります。なぜ、保険適応にならないか、はここで議論しません。とにかくこれが現実だとして、いくらまでなら、皆さんは、子供を授かるまでにお金を出してよい、と考えていらっしゃいますか?受ける患者さんは、せいぜい40代までの患者さんで貯蓄はあまり余裕がなく、しかも、この不況、あまり出せないだろうと、わたしたちは考えています。
わたしたちも、できるだけ、良心的な価格を設定したいと考えています。
おおざっぱに考えると、体外受精というものの値段は、以下の図式が基本ではないでしょうか?
(施設費用÷利用人数)+(試薬代・使い捨て器具代)+((人件費・運営費)÷利用人数)+経営者の利益
例えば、施設費用を3000万円(五年償却)、人件費(培養士+看護師+事務)・運営費を年間1000万円、利用人数を年間100人、試薬代・使い捨て器具代を4万円とします。3000万円施設費用をかけると、エアシャワー・クラス10000クラスの培養室・クラス100クラスのクリンベンチでの顕微授精・レーザーアシストハッチング・IMSIなどが実現できます。当院も、このクラスの設備を揃えています。設備というのは、手を抜けば、この半額でも顕微授精まで十分にできます。それでも、ART認定施設のすべて対応施設(体外○顕微○凍結○)です。昔に登録された有名でない施設は、たいてい清潔度のレベルが落ちます。HPをみて設備内容が分からなければ、そこまでかけられていないと判断してもよいのかな、と思います。
そうすると、
(600万÷100)+4万+(1000万÷100)+経営者の利益=20万+α となります。
実際には、これに注射代・くすり代・検査代が入ります。これもやり方によって費用はだいぶ変わってきます。なるべく最小限の費用で保険治療に換算すると5万くらい、ちょっと丁寧にやると、7万くらいかな、と思います。
これが、利用人数200人でも、人件費・運営費は2倍とはならず、せいぜい2人くらい(月30万x12x2=720万円)増えるだけですから、
(600万÷200)+4万+(1720万÷200)+経営者の利益=15.6万+α です。
そこで、当院の体外受精の特徴の一番を、「きちんとした体外受精・顕微授精をリーズナブルな値段」で受けられる、ということにしました。わたしたちが考えたのは、以下の料金設定です。
longGnRHa周期 トータル30万円くらい! クロミフェン周期 トータル20万円くらい!
トータルというのは、投薬代・注射代・検査代を含めた価格です。また、凍結に関しては勘定に入れていません。凍結に関してのわたしたちの考えては、別の機会に書きます。100人の患者さんが体外受精を受けてくれないと、経営者の儲けゼロどころか下手すると赤字、200人来てくれたら、1人5万円の利益として、1000万円利益がでますよ、ということです。実際には、運転資金の借入には利子が発生しますし、利益がでたら税金も払わなければなりませんし、一方、減価償却費という概念も発生するので、こんな簡単な計算ではすみません。けれど、概念的に、「ぎりぎりの価格である」ということをご納得いただけたら、と思います。
当初、これでスタートして何年かやってみて、経営の収支で、また料金設定を変えるかもしれません。わたしたちとしては、さらに良心的な価格でご提供できることを望んでいます。
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Posted in 当院のブログ on 4月 7th, 2008 No Comments »