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2010-01

当院が5日胚移植にこだわる理由

上の一連の写真は、当院で平成21年に得た胚盤胞の一部です。実は、開院以来、すべての胚を5日目まで育てており、胚盤胞の段階で胚移植をしております。患者様の希望というよりは、当院の希望によってです。なぜでしょうか?3日目の胚は8分割くらいです。割球均一で、フラグメントの少ない胚が、4日目で分割を停止してしまうこともあります。一方、どうかな、と思われていた胚が最後、内細胞塊の立派な胚盤胞に成長することもあります。従って、本当のところ、胚盤胞、それも拡大胚盤胞まで育ててみないと、胚の良し悪し、というのはわからないのではないか、と思います。3日目の見かけ上、綺麗な胚が、本当に生着する良い胚なのかどうかを見届けたいがため、たとえ1個しか胚がなくとも5日目まで育ててしまうのです。5日目までに分割を止めてしまうと胚移植ができなくなってしまうのですが、培養室で成長を止めてしまう胚が、本当に体内だと(それも子宮という、本来3日目ではありえない環境)ですくすく分割するのだろうか、という疑問があります。体内環境は、未だに培養室の環境より良いのでしょうか?駄目胚だとわかってしまうと戻せなくなるので、なんとか戻したいという患者様の思惑と、なんとか戻して胚移植料金までとりたいクリニックの思惑が一致しているだけなのではないか、という疑念は、今日まで明確な回答を見出せずにおります。

当院は、午後8時前後に採卵するケースが90%であり、5日後の午後2時半か午後4時半、もしくは午後7時半で胚移植(初期胚盤胞から拡大胚盤胞、まれに一部ハッチング段階)をしております。正確には丸4日と20時間前後で行っております。5日以上経ってしまうと子宮内膜と同調しなくなり着床率が下がるのでは、と考えており、胚移植を行いません。これは、夜採卵でのみ行える操作で、朝採卵で同様の操作を行うと深夜に胚移植をすることになってしまい、実際的ではありません。当院の時間帯で、胚盤胞で胚移植を行うと、およそ80%程度が生着します。症例数が増えてきた平成21年11月~12月には、採卵数24に対し、胚盤胞到達率が20(内2例は、6日目に到達したため凍結保存)、胚盤胞移植を18、うち16例が妊娠反応陽性でした。妊娠率は、年齢や患者様の質(多嚢胞性卵巣症候群など)に左右されることが多く、一概にクリニックの実力を反映したものではありませんが、胚盤胞に到達した胚は80%程度が生着(ただし、残念ながら20%程度が流産に至りますが)しているという事実を以て、当院はある一定の技術レベルに達したのではないか、と考えております。学会推奨の単一胚移植も、実際の現場の条件・雰囲気で迷いながら2個(AAという良好胚とBCクラスの胚の組み合わせ)を入れることも平成21年は多くなってしまいました。結果、2個胚移植の場合、当院では30%程度の双胎率をみており、今後は単一胚移植をさらに推奨しなければならないと反省しております。なお、5日目良好胚でありながら生着しない場合、および6日目胚盤胞は凍結しており、当院独自の融解胚移植プログラム(現在のプログラムにたどり着くまで2年かかりました)に沿って、胚移植を行い、最近では70%程度の生着率を得るようになってきました。現在、多嚢胞性卵巣症候群や早発閉経・高年齢の方より、いかに良好卵を得るか、ということが大きな課題となっております。成功した患者様より、成功しなかった患者様の事が深く印象に残っております。次にどうしたら良いか、色々なアンテナを張りながら、卵巣の質改善プログラムを開発し、より多くの皆様の期待に応えたいと思っております。

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